何となく西の方が比較的安定したお天気のような気がして、スイス国境の近くへ向かうことにしました。

列車の終点マルス Mals(マッレス Malles)駅からシュリーニック(ズリンジャ)谷 Schlinigertal / Valle di Slingia 行きのバスに乗り換えます。今朝も列車が5分遅れ、危うくバスに乗り遅れるところでした。動き始めたバスに飛び乗り、プレマユール Prämajur で下車すると、目の前にチェアリフト乗場がありました。

片道切符(ゲストカードで1ユーロ割引になり1人11ユーロ)を買ってヴァトレス Watles / Vatles 行きチェアリフトに乗り込みます。

チェアリフトはヴァトレス山(写真左)の南尾根に着きます。

すぐ近くの乗場からヴァトレス山の頂上近くまでスキーリフトが通じていますが、夏季は運行されていません。ヴァトレス山はなだらかな草原の頂で、比較的楽に登れる割に眺望が良いそうです。今日は雲が多くて眺望を得られそうになく、登りません。

チェアリフト山上駅の近くに建つレストラン「プランタパッチ Plantapatsch」の前を通り、8番のハイキングコースで北西方向へ歩き始めます。

牛の放牧場になっている草原の斜面をトラバースして進み、ほぼ平坦で快適な道でした。

木彫りのマリア像の祠が途中にありました。

分岐点に建つシャーフ(=羊)小屋 Schafhütte を通過。避難小屋のような感じです。

谷底から雲が次々に湧いて眺望が殆ど得られなかったのは残念でしたが、草花は沢山咲いていて楽しめました。



コケモモの花

少し霧が晴れ、帰路で歩く予定の谷底の道が見えました。

セスヴェンナ小屋 Schutzhütte(Rifugio) Sesvenna を見下ろす地点まで来ました。

右がセスヴェンナ小屋で、池の畔に建っている左の建物は、部分的に再建された(山小屋としては使われていない)旧プフォルツハイマー小屋 Alte Pforzheimer Hütteです。チェアリフト「ヴァトレス」の山上駅からここまで2時間弱でした。

そのまま直進してシュリーニック(ズリンジャ)峠 Schlinigpass / Passo di Slingia へ向かいます。18番のハイキングコースです。

シュリーニック峠付近には池が点在していて、分水嶺の場所はハッキリしません。

峠の南側には広大な湿原が広がっていて、自然保護区になっているようです。

峠の先にあるスイスとの国境まで歩きました。セスヴェンナ小屋から片道30分弱です。写真は国境の礎石で、「S」の文字が彫られた手前側がスイス領です(今回の旅で2度目のスイス入国…僅か数mですが)。写真の後方がシュリーニック峠。

国境礎石の近くには十字架が立ち、その先のスイス領内には大勢の人々が集まっていました。どうやら牛の群れをここまで上げて来たようです。

牧羊犬がいます。人々はビールを飲んで寛いでいました。

牛追いの鞭を鳴らしている少年もいました。

スイス側の道はウイーナ谷 Val d'Uina へ下っていて(下った先はウンター・エンガディンの谷底です)、マウンテンバイクで国境越えを楽しむ人が多かったです。ロマンシュ語とドイツ語で書かれたバイカー向けの注意書き看板がありました。

セスヴェンナ小屋まで引き返してきました。

セスヴェンナ小屋の裏手に荷物運搬用のリフトがあります。

回復傾向だった空が急に暗くなってきたので、(我が家は今日も昼食を持参してきたものの)山小屋の中で休憩することにしました。アプフェルシュトゥルーデル(アップルパイ)1つとカプチーノを味わっているうちに小雨が降り出しました。

濡れる用意をしてセスヴェンナ小屋を出ましたが、幸い小雨はすぐに止みました。1番のコースで谷底方面へ戻ると、急坂を下る手前に「フィーアマン・ゾイレ 4mann-Säule(=4人の柱)」という木製の彫刻が建っていました。2012年にここで雪崩に遭遇した4人が無事に生還したことを感謝して建てたものとの説明板がありました。

その先の急坂の下り。マウンテンバイカーも自転車を降りて歩いていました。

途中からハイカー用の細いトラバース道が分岐していて、我が家はそちらを進みました。自転車が通らない道の方が安心して歩けます。

草花も楽しめました。


振り返ると、下ってきた岩壁を滝が流れ下っていました。

谷底まで下って広い道に再び合流し、シュリーニガー・アルム Schliniger Alm(マルガ・ズリンジャ Malga Slingia/アルプ・プランベル Alp Planbell)のレストランを通過。

その先は谷底の幅が広がり、一面の広大な牧草地の中を進みました。但し、あちこちで肥料として屎尿を散布中で、臭いのために昼食休憩できる場所がありませんでした。

予定よりも早く(セスヴェンナ小屋から約1時間半で)シュリーニック Schlinig(ズリンジャ Slingia)村に着いてしまいました。写真右の建物は聖アントニウス教区教会 Pfarrkirche St. Antonius です。

聖アントニウス教区教会の内部。

貸アパートになっている大型シャレー「シュミートホーフ Schmiedhof」の隣がマルス駅行きバスの始発停留所です。帰りのバスは16時半まで無いので、バス停のベンチに座り、持参したサンドウィッチやコーヒーを味わいながら約2時間待ちました。その間も雨に降られずカンカン照りでもなかったので良かったです。シュランダース Schlanders(シランドロ Silandro)村へ帰ってきたら、こちらでは雨が降ったようで路面が濡れていました。
【ヴェノスタ谷(イタリア)の最新記事】
また、スイス国境を越えられましたね!我々も2011年シャモニに行った時にCol de Balmeで経験しましたが、礎石に(その時は)SとFがあるだけのものでした。Stelvio峠にもありましたが、あの峠はBolmioから車道を越えても国が変わらない紛らわしいものでした。ところで、また、スイスが近いのでSwiss Topoで徒歩のコースを追えました。
https://youtu.be/QXD2DBcE2Is
小屋の名のスペルミスがありましたが、他に訂正があれば一緒に直します。
放牧地自体には国境線の柵はありませんでしたが、イタリア側の牛とスイス側から上がってきた牛の群れは領域を分けて放たれているように感じました。他所の草を食べさせちゃいけないんでしょうね。
毎日動画有難うございます。
今年も諦めていたスイス、まずまずのお天気で少し行かれて良かったですね。
分かりやすく面白いです。コケモモは大きくてシャクナゲかなと思いました。お二人とも毎日お歩きになり足に筋肉が付いたのでは?
毎日ブログ楽しみです。
コケモモはズームアップして撮っただけで、花は日本のと同じく小さいです。この日歩いた道にはホタルブクロやキキョウ科の花、マンテマ等が沢山咲いてましたけど、私は小さい花が好きなんですよ。